漢方のお悩み

スッキリ解消!
「腸活」基礎知識~便秘のこと-4

こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。

ここのところ、関東もすっきりしないお天気が続いています。このまま梅雨に突入でしょうか?

さて、前回は便秘の中医学的な考え方についてお話ししました。今回は、便秘のときに用いられる漢方薬について紹介したいと思います!

薬を決めるのは「証」

便秘に使う漢方薬では、有名なものとして、大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)や麻子仁丸(ましにんがん)、潤腸湯(じゅんちょうとう)などがあります。

前回お話したとおり、中医学では便秘を熱結便秘、気滞便秘、血虚便秘、気虚便秘などいくつかの種類に分類ができます。漢方薬もその状態に合ったものを選択することになります。

漢方薬の場合、誰にどの薬を使っても良いわけではありません。漢方薬は「証」にあったものを選んで使う必要があります。あっていない漢方薬を使ってしまうと、効かないどころか、むしろ状態が悪化する可能性があるので注意が必要です。

「証」とは、中医学独自の考え方であり、その状態や環境などを考慮したものです

便秘のための主な漢方薬と使いかた

便秘に使われる主な漢方薬をいくつか紹介したいと思います。

効果を発揮する
便秘の種類
効能 特徴・注意点
大黄甘草湯
(だいおうかんぞうとう)
熱結便秘 大黄が腸で悪さをしている熱を取り、便を出しやすくします。
甘草は「熱」でダメージを受けている胃気を保護します。
防風通聖散
(ぼうふうつうしょうさん)
熱結便秘 体内の「熱」を取り、便を出しやすくします。
他の漢方薬と比較して、便を出す作用が強いことが特徴です。
「熱」を取りすぎることがあるため、長期の使用には注意が必要です。体のバランスを崩してしまう可能性があります。
麻子仁丸
(ましにんがん)
血虚便秘
陰虚便秘
不足している「陰」を補いつつ、便を出しやすくします。 癖になりにくく、長期服用が可能です。
老人や産後、慢性の便秘など幅広く使うことができます。
潤腸湯
(じゅんちょうとう)
血虚便秘 薬の当帰や麻子仁が「血」を補いつつ、便秘を改善します。 長期服用が可能です。

便秘に使うのは便秘薬だけではない?!

中医学では、現代医学は異なり、症状と治療がワンパターンではありません。

便秘以外にも病気・症状がある場合、原因となっている症状が改善するとあわせて便秘も改善する可能性があるからです。

たとえば、便秘の症状を訴える方のなかに、めまいの症状もあるケースがあります。便秘のタイプが血虚便秘の場合、血虚の状態であると、便秘に加えてめまいの症状が出ることがあるためです。

この場合では、めまいのほうに強く不快感を覚えることが多いので、便秘にまで意識がまわらないこともあるのですが、めまいの治療で血虚を改善する漢方薬(補血薬)を使うと、めまいとあわせて便秘も改善します。

このように、便秘とそのほかに別の症状もあるケースでは、必ずしも便秘の漢方薬を使うとは限りません。2つの症状に共通している原因に対しての漢方薬を使うことで、両方の症状を改善させることができるのです。

一方で現代医学では、めまいと便秘の両方の症状がある場合、各々の症状に対して治療を行います。

めまいにはめまいの薬を使い、便秘には便秘の薬を使います。そのため症状の改善に時間がかかることもありますし、片方の症状が良くなっても、もう片方の症状が良くなるわけではありません。

治療には、両方の視点が大事!

これまで4回にわたって、便秘についてお話ししてきました。

2つ以上の症状が重なっている場合には、中医学の方が効果的な可能性がありますが、もちろん、現代医学による視点で治療を行うことも大切です。

中医学と現代医学、両方の視点から治療を行っていくことで、より早く、より効果的に症状を改善することができるのです。

 

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