漢方のお悩み

“痛み”と漢方-3

こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。

今回は、引き続いて中医学(漢方)での痛みについての基本的な考え方をお話したいと思います。

中医学で痛みの原因は2つ

中医学では、「不通則痛」「不栄則痛」が私たちの体のどこかで起こるために、痛みやしびれが起こっていると考えられています。

「不通則痛」:通じざれば、すなわち痛む

私たちの体のなかにある、気血を全身に運ぶための通路(経絡)での流れに異常が起こると、「痛み」が現れます。

「不栄則痛」:栄ざれば、すなわち痛む

からだに必要なエネルギーや栄養である気血が不足していると「痛み」が起こります。

中医学では、このような異常な状態、不足している状態のときには、症状を改善するため、それぞれに合わせた漢方薬を使うことがあります。

「慢性的な痛み」の原因は“肝と腎”の老化?

「座っていたり、じっとしているときは感じないが、歩くとひざが痛む」

とくに年配の方からよくこんなお話しを伺うことがあります。

多くの人がかかえる「慢性的な痛み」ですね。中医学では、その背景に肝と腎の老化があると考えられています。この“肝”と“腎”は、現代医学でいう肝臓や腎臓とは少し異なっています。

肝=血をたくわえる場所

体の栄養となる血(けつ)をたくわえているのが肝です。血が十分にたくわえられていることで、体の臓器や機能は正常に働きます。

年齢を重ねることで、肝が衰えると、“血をたくわえる力”も弱くなり、体に十分な栄養を届けることができなくなってしまいます。

腎=精をたくわえる場所

生命の精を保持、作り出しているのが腎です。精とは“気をつくる材料”です。腎は人の成長や生殖にもかかわっていて、骨や脳、毛髪なども腎の機能によって保たれています。

腎が衰えると、骨が弱くなり姿勢が悪くなる、記憶力が低下する、髪が抜けるなどの症状が現れます。

肝・腎の衰えで気血が不足!!

肝・腎が衰えることで、体の機能を養うのに必要な「気血(きけつ)」が不足する原因となります。

「気血」は、中医学で体の機能を正常に保つうえで大切なエネルギーや栄養のことをさします

特に「気」が不足しすると体の防御機能が働かなくなるので、外から邪気、寒さ、湿気などが体内に入り込み、体液の流れを邪魔したり、体を冷やしたりします。その結果、痛みが発生するのです。

腰痛の原因も「腎」が原因?!

慢性的な痛みで相談例が多いものに腰痛があります。

「もうずいぶん長い間、腰が重だるく痛むんです……」

こんな症状をお持ちの方多いのではないでしょうか?

腰痛は、五臓(肝・心・脾・肺・腎)のなかでも、とくに腎と密接に関係しています。腎は骨の機能の維持にかかわっているからです。

歳を重ねて腎の機能が衰えることで、骨が弱まって姿勢を正常に保つことができなくなります。無理な姿勢は体に負担となりますので、徐々に痛みとして症状が現れます。そのため、腰痛は高齢者に多く見られるのです。

また、腰痛は2000年前の医学書である「黄帝内経(こうていだいけい)」の時代から語られています。決して現代病というわけではありません。

若くても腰痛になります

経験のある方も多いと思いますが、腰痛のひとつに“ぎっくり腰”があります。ぎっくり腰は「急性腰痛」といい、若い人にも起こることがあります。

ぎっくり腰のような若い人にも起こる腰痛にも、腎が関係しています。

先天的に腎が弱い人のほか、生活の不摂生や過労、ストレスなどが重なった場合にも腎の機能が衰えやすくなります

若くても腎の衰えは起こります。それが引き金となって腰痛が発生するのです。

痛みがつづいたら、漢方治療も!

腰痛以外にも、長年の痛みはその原因が肝や腎である場合は多くあります。

痛みがあるとき、中医学ではその原因になる部分に着目して治療を行います。病院での治療でなかなか痛みやしびれが改善できないと悩んでいる方は、ぜひ漢方薬による治療をお試しください。

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