こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。
前回、“痛み”がどうして起こるのかについてお話ししましたが、今回は、中医学(漢方)での痛みについての基本的な考え方をご紹介したいと思います。
太古の昔から「痛み」に悩む人類!!
筋肉や関節の痛みやしびれ、だるさなどが特徴の病気を指すもとのして、中医学(漢方)には「痺証(ひしょう)」という言葉があります。
痺証の概念は、2000年前に書かれた医学書である「黄帝内経(こうていだいけい)」の中にも書かれています。はるか昔から、痛みは人類の大きな悩みだったのです!
中医学では、体の機能を正常に保つうえで大切なエネルギーや栄養のことを「気や血(けつ)」といいます。
痺証は、気血(きけつ)の流れ(神経、血液の流れ)が何らかの原因によって、障害を受けている状態のことを指しています。
痺証の「痺(ひ)」という文字には「通じない、ふさがる」という意味があります
ではなぜ気血の流れを悪化させる障害が起こってしまうのでしょうか?
外部からの刺激が原因の「不通則痛」
原因のひとつに外部からの刺激が挙げられます。外部からの刺激による痛みを中医学では「不通則痛」といいます。
「不通則痛」:通じざれば、すなわち痛む
外部から刺激である寒さ、湿気、風などの「邪気」が体の中に入り込むことで、皮膚の表面・経絡に侵入・攻撃します。邪気が気血の通り道である経絡をふさいでしまうことで、気血の流れが悪化します。(巨大な岩が道路を通行止めにしてしまうようなイメージです)
中医学では、気血の流れが悪くなると、エネルギーや栄養を受け取っている筋肉や関節の運動に障害が生じて、痛みやしびれなどの症状が起こると考えられています。
私たちの体の中には、気血を全身に運ぶための通路である「経絡」があります
何かしらの原因で、この経絡の流れに異常が起こる(経絡が通じていない)と、「痛み」として体が警告を発するのです。
必要なものが不足する「不栄則痛」
そのほかにも、体に必要なものが不足することでも痛みは起こると考えられています。
「不栄則痛」:栄ざれば、すなわち痛む
疲労や老化による腎の衰え、虚弱体質、慢性病、体力低下、食事の偏りなどが原因で、体に必要なエネルギーや栄養である気血が不足してしまうことがあります。
そんな栄養不足が原因で起こる痛みのことを、中医学で「不栄則痛」といいます。
痛みに対する漢方処方
中医学では、「不通則痛」や「不栄則痛」が私たちの体のどこかで起こるために、痛みやしびれとなって自覚症状が現れてくると考えられています。
漢方薬による治療では、この経絡の中の気や血の流れをスムーズにすることで痛みを改善させることができるのです。
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