その他

いよいよ夏本番!
「熱中症」にご用心! ― その4

こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。

8月も後半に入りましたが、まだまだ暑いですね。「熱中症」についてのお話、今回で4回目となります。

補うのは水分と電解質!

前回お話ししたように、脱水症では体液(=水+電解質)が不足している状態です。(参考:いよいよ夏本番! 「熱中症」にご用心! ― その3)

正確には体液にはほかの成分も含まれていますが、ここでは分かりやすいように水+電解質としています。

そのため、もし脱水症になってしまったら、水分と電解質を補う必要があります。それを「補水療法」といいます。

口から飲めないときは点滴で・・・

補水療法には「輸液療法」と「経口補水療法」の2つがあります。

輸液療法

通常、病院などで行われる点滴治療です。熱中症などで病院に運ばれた場合、口から飲むのが難しいことも多いため、点滴で体液(水分+電解質)を補給します。

経口補水療法

“飲む点滴”とも呼ばれる「経口補水液(ORS)」は、身体から失われた体液を口から補うことのできる飲料です。水、電解質(とくにナトリウムイオン)、炭水化物(ブドウ糖)の3つの成分を一定の割合で配合させています。

家や外出時などで脱水症を起こしたとき、病院に行くほどではない場合、経口補水液を飲むことで、輸液と同じような効果があります。

「ブドウ糖」は「門」の扉を開けるカギ!

経口補水液には、電解質のほかにブドウ糖も含まれています。「体液を補給するのに、なぜブドウ糖が必要なの?」と思われるかもしれません。

実は、ブドウ糖には、重要な役割があるのです。

経口補水液を飲み、腸管で電解質(ナトリウムイオン)が吸収されるためには、腸管にあるナトリウムイオン専用の“門”を通過する必要があります。

そして、その門を開けるための“鍵”となるものが、炭水化物(ブドウ糖)です。

ブドウ糖が含まれず、ナトリウムイオンだけしか入っていない水分だった場合、電解質の体内への吸収がとてもゆっくりになり、体液の補給に時間がかかってしまうのです。

経口補水液のなかのブドウ糖は、量が多すぎてもよくありません。適度にブドウ糖が含まれていることが重要です。

たくさんある経口補水液、オススメは・・・?

ドラッグストアや薬局をのぞいてみると、さまざまな種類の経口補水液が販売されています。

多くの種類があるとどれを選ぼうか迷ってしまいますよね。

経口補水液は脱水症になったときに重症化を防ぐ大切なものです。本来、ブログではあまり商品名を出さないようにしているのですが、今回は、一薬剤師として商品をご紹介したいと思います。

最適なのは「OS-1」、小児用には「アクアライトORS」

「熱中症診療ガイドライン」によると、経口補水液の候補として挙げられているのは「OS-1」です。小児の場合には「アクアライトORS」という商品も薦められています。

OS-1にはドリンクとゼリーの2種類がありますが、個人的には、小児や高齢者でも飲みやすいゼリータイプをオススメしています。サイズが小さいので、バッグに入れておきやすいというメリットもあります。

また、OS-1はほかの経口補水液と違って、脱水症状が起きていないときは塩味を強く感じて美味しくないのですが、脱水気味のときに飲むと、塩味を感じず甘く感じるため、簡易的な体調チェックにも使うことができます。*個人差があるので注意が必要です。

「スポーツドリンク」は2番目の選択肢

手元に経口補水液がない場合、スポーツドリンクでも十分効果はあると思います。

ただ、スポーツドリンクの場合、経口補水液と比べて糖分が多く、電解質が少なくなっているため、電解質の補給に時間がかかってしまうというデメリットもあります。

脱水症が疑わしいときには、できるだけ経口補水液を飲んだほうがよいでしょう。

熱中症には十分ご注意を!

熱中症についてのお話は今回で終わりです。まだまだ暑い日は続きますし、今年はマスク着用もあるため、いっそう熱中症への注意が必要です。

外だけでなく、家のなかでも熱中症になる人も多いので、十分注意してお過ごしください!

持病をお持ちの方へ
熱中症の対応でも一般の方とは異なる場合があるので、事前に主治医の先生に確認しておくことが大切です。

 

 

あわせて読みたい記事

いよいよ夏本番!「熱中症」にご用心! ― その1

いよいよ夏本番!「熱中症」にご用心! ― その2

いよいよ夏本番!「熱中症」にご用心! ― その3