腸 活

腸内細菌のナゾ~ ヒトとの「共存」

こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。

「腸内細菌」とは、その名前のとおり“腸に住んでいる細菌”のことをいいます。

地球上のさまざまなところに存在する細菌ですが、ヒトの腸内には驚くほど多くの細菌がいることがわかっています。これほど小さい範囲のなかに多くの細菌が集まっている場所はほかにはない、といわれています。

今回は、そんな腸内細菌についてのお話しです。

助け合って生きる“細菌”と“ヒト”

細菌は病気の原因となることもあります。それなのに、ヒトは(腸内)細菌が腸に住むことを暗黙のうちに了解しています。少し不思議なことですね。

この関係は、腸内細菌とヒトとでお互いにメリットがあるため成り立っています。

腸内細菌は、ヒトが食べた食事から栄養を受け取ることができますし、ヒトは、腸内細菌が作り出した物質を栄養源として健康の維持に役立てることができます。これを「共生」と表現することもあります。

腸内細菌は、「ビタミンK」や「短鎖脂肪酸」などヒトの健康維持には欠かせない物質を作り出しています

普通の細菌は腸内には住めない?

一般的に、細菌はグルコース(ブドウ糖)をエサとしていることが多いといわれています。私たちが毎日食べている白米やパン、麺類などに多く含まれていますね。

ところが、食事に含まれるグルコースはほとんどが小腸で吸収されてしまいます。腸内細菌がいるのは大腸なので、そこまで到達することはあまりありません。そのため腸内細菌は、一般的なほかの細菌とは違ってグルコース以外のものをエサにしていることが多いのです。

食べ物のなかには、食物繊維や難消化性タンパク質など、栄養を吸収する場所である小腸をサラリと通過して大腸に到達するものがあります。腸内細菌は、そういったヒトの体で吸収されない(されにくい)物質をエサとしているのです。*腸の状態が悪いときには、通常消化するべき食べ物でも消化しきれず、大腸に運ばれてくることもあります

腸内細菌は、ヒトの体に必要とされていないものをエサとして食べるため、ヒトの腸内に住むことができます

食事が偏ると細菌も偏る?!

腸内には、およそ38兆個、500~1000種類もの細菌がいるといわれています。

私たちも好きな食べ物がひとりひとり違うように、腸内細菌も種類によって好物が異なります。腸内に、好きなエサが多くある細菌はどんどん数を増やしますし、逆に食べられるエサがない細菌は数を減らしてしまいます。私たちの日々の食事は、腸内細菌の種類や数に大きく影響しているのです。

ヒトと腸内細菌は、持ちつ持たれつ、相互に助け合って生きています。ヒトは腸内細菌がエサを与え、腸内細菌が作った栄養をヒトが受け取っています。

食事が偏ると腸内にいる細菌の種類も偏ってしまい、体に必要な栄養がもらいにくくなる可能性があります。なるべく多様性のある食事をすることが、腸内細菌にとっても、私たちの体にとっても、Win-Winの結果をもたらすのです。

バランスのよい食事で、腸内のバランスも整えましょう!