漢方のお悩み

“自然の恵み”漢方薬
漢方薬にも副作用はある? ―2

こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。

私たちの薬局では、漢方相談も行っています。前回に続いて、今回も“漢方薬の副作用”についてお話ししたいと思います。

漢方(生薬)と聞くと、“あまり効果が強くない”というイメージを持たれるかもしれませんが、決してそうではありません。

例を挙げると、生薬で皆さんの馴染みが深いものとしては生姜があります。生姜は調味料としても普段の食卓にもよく使われますね。

生姜を食べると身体が温かくなりますし、その温める作用を利用して漢方でも冷えの症状に使われる漢方薬によく含まれています。漢方薬は、人が古くから培った知識と経験をもとに、自然のものがもつチカラを活かした処方なのです。

副作用はおもに2種類

前回もお話ししたように、漢方薬の副作用は大きく2種類に分類することができます。

1.漢方薬の作用(中医学・漢方医学的な作用)による副作用
 “証”に合わない使い方によるもの

2.漢方薬の成分による副作用
 特定の生薬の成分に起因するもの

前回は、1.漢方薬の作用による副作用について、花粉症の患者さんの例をご紹介しました。患者さんの証に合わない使い方(誤治)によって、状態が悪化してしまうケースです。

今回は、2.漢方薬の成分による副作用のケースについてお話ししたいと思います。

薬とアレルギー

「アレルギー(反応)」は、体質に合わない物質が体内に入ったときに、体が過剰に反応してしまうことを指します。腕や顔などに湿疹ができたり、ひどい場合には呼吸困難に陥ってしまうこともあります。
*薬によってアレルギーが起こることもあり、それも副作用に含まれるのですが、少し話が複雑になってしまうので、今回は別に扱うこととしています。

アレルギーを起こす原因となる物質はひとりひとり違っていて、地球上のどんな物質にも起こりえるものともいえます。海外旅行で現地のものを口にして初めてアレルギーが出たという人もいるくらい、何に対してアレルギーが起こるかは、そのときになってみないと分からないのです。

よく聞くのは食べ物のアレルギー。有名なのは卵や蕎麦などですが、同じように生薬でもアレルギーが起こる可能性はあります。

 

飲み方にも注意が必要! 漢方薬の成分による副作用

漢方薬の成分で引き起こされる可能性のある主な副作用として、食欲低下、発熱やじんましん、むくみ、動悸、不眠、血圧上昇などがあります。ごくまれではありますが、重大な副作用として「間質性肺炎」があります。

生薬の成分による副作用として有名なのは「甘草」という生薬による「偽アルドステロン症」です。

偽アルドステロン症は、甘草に含まれる「グリチルリチン」という成分を大量に摂取してしまうことで、血圧が上昇したり、浮腫んだりするという症状が現れることがあります。

甘草という生薬は使い勝手が良いこともあり、多くの漢方薬に含まれています。適切な量を適切な期間で服用していればそれほど問題はないのですが、気をつけなければならないのは、複数の漢方薬を服用することです。

ひとつの薬だけなら適量だったとしても、いくつかの薬を一緒に飲んでしまうことで、気づかないうちに過剰な量を摂取してしまうことがあるのです。

「偽アルドステロン症」は、服用後3か月以内に起こることが多いというデータがあります。とくに飲み初めには注意が必要です。

生薬にはご注意を、事前の相談・確認は必須です!

ほかに、特定の生薬に含まれている成分によるも副作用として挙げられるのは……

「麻黄・附子」 → 交感神経刺激による副作用
「桂皮・当帰・黄今」 → 薬疹
「柴胡」 → 間質性肺炎   等々……

漢方も薬です。服用する場合には、事前に必ず薬剤師に相談し、注意点などをしっかりと確認しましょう!

漢方薬で副作用が起こる可能性は比較的低いといえますが、絶対に安全というわけではありません
漢方薬に含まれる生薬の成分には注意が必要です

 

 

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