こんにちは、薬局ぽっぽの大平です。
最近は暑さも少しずつ和らいで、朝晩は過ごしやすくなってきましたね。
私たちの薬局では、漢方相談も行っています。
漢方の考え方は、体調をととのえることに大変役立ちます。先日までのうだるような暑さのときにも漢方は役立ちましたが、これから迎える秋・冬の時期でも同じです。
とくに冷え性などでお悩みの場合、漢方薬が効くことが多いです。漢方の考え方は、冷え性などと相性がよいのです。
今回からは、少し漢方についてお話したいと思います。
漢方薬も薬、副作用にご注意を!
当薬局で漢方相談を行っているので、情報収集のためSNSやネットで漢方について調べることがあります。
すると、なかには気になる内容の記事が見つかることがあります。たとえば……
「漢方薬は副作用がおこらないので安心して飲める」
これは誤った情報です。漢方の勉強をしていると、間違っているとわかるのですが、一般的には漢方薬には副作用がないと思っている人が多いのかもしれません。
漢方薬も薬、副作用には注意が必要です!
自然界に存在する成分のみでつくられる漢方薬
漢方薬を構成する“生薬”には、植物性のものや動物性のものなど、さまざまな種類があります。
生薬は、その成分が“人工的に作られたものではなく、自然界に存在するものである”という点で共通しています。
「薬食同源」という言葉があるように、健康を維持するために食べることはとても大切です。“旬の食材を取り入れる”という習慣も、昔からの人の知恵といえます。日々を過ごす中で体調を崩さないために、食材が薬のような役割を果たしてきたのです。
今でも、たとえば、旬の食材を豊富に使った和食のメニューには、漢方薬の材料になっている食材も多く使われています。
そんな背景もあって、自然のもの=漢方薬には副作用がなくて安心、と思うのかもしれません。
薬の成分のほか、“証”によっておきる副作用
漢方薬は薬の一種です。間違って選択してしまうと副作用が起こる可能性があります。
漢方薬の副作用には、おもに2種類の原因が考えられます。ひとつは、特定の生薬の成分に起因するもの、もうひとつは“証”に合わない使い方であった場合です。
“証”とは漢方の考え方のひとつで、「病気の色々な段階での総合的な状態」を指します
*くわしくは、また別の機会でお話しします
一般的に、現代医学(西洋医学)では、原因ではなく頭痛や風邪など症状に対して薬を選びます。同じ症状・病気であれば、基本的には誰に対しても同じ薬が処方されます。
それに対して漢方医学(中医学)では、その人の証を考慮した漢方薬が選ばれます。同じ症状であっても、症状を訴えている人の証が異なれば、使う漢方薬も異なってくるというわけです。
そのため、状態を見誤って処方してしまうと、期待している効果が得られなくなってしまいます。
漢方処方で大切なのは、本人の状態を知ること
状態を見誤って漢方薬を使ってしまうことを“誤治”といいます。
たとえば、冷え性の人が花粉症で鼻水が止まらないときには、花粉症に効果のある漢方薬の中でも体を温める作用の漢方薬をおすすめすることがあります。
でも、同じ症状だけれど冷えの症状がみられない、という人に体を温める漢方薬をすすめても、効果は表れにくくなります。むしろ、体を温めすぎて体調が悪くなってしまうかもしれません。
誤治は、“証の判断を間違えてしまった”ことから起こります。その場合は、あらためて症状を聞いたり、状態を確認したりすることで、証を見直して、適切な漢方薬をみつけていきます。
大昔からの人々の知恵と経験により生まれた漢方薬、今でもしっかりとその効果が認められています
副作用もあることを理解して、適切に使いましょう!
漢方薬と副作用について、次回はもう少しくわしくお話ししたいと思います。